腰の痛み
腰の痛み

腰は体を支える中枢部分であり、歩行や立位、座位、重い物を持つ動作など日常生活のあらゆる場面で重要な役割を担います。そのため、腰の痛みや違和感は生活の質に大きく影響し、仕事や家事、趣味などの活動にも支障をきたすことがあります。放置すると慢性化や姿勢の悪化、下肢への神経症状につながることもあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。ここでは、腰に関してよく見られる疾患や症状、原因、特徴、そして治療の考え方について詳しく解説します。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の間にある椎間板が突出して神経を圧迫することで、腰やお尻、下肢に痛みやしびれを生じる疾患です。症状は座位や前かがみで悪化することが多く、足のしびれや力の入りにくさが出る場合があります。治療はまず保存療法として、安静や鎮痛薬の使用、腰の筋肉を支えるストレッチや運動療法を行います。症状が改善しない場合や神経障害が進行する場合には、手術による椎間板除圧術が検討されます。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症は、加齢や椎間板の変性、骨の変形などにより脊柱管が狭くなり、神経が圧迫される疾患です。歩行時や立位で下肢のしびれや痛みが増し、休憩を取ることで軽減することが特徴です。治療は、腰や下肢の筋力を維持する運動療法、姿勢指導、鎮痛薬の使用、神経ブロック注射などの保存療法が中心です。症状が進行し日常生活に支障をきたす場合には、椎弓切除術や固定術などの手術療法が検討されます。
腰椎分離症・すべり症
腰椎分離症は腰椎の椎弓が疲労骨折することで生じ、腰痛や運動時の痛みを引き起こすことがあります。分離症が進行すると、椎骨が前方にずれる腰椎すべり症となり、腰痛に加えて下肢のしびれや筋力低下を伴うこともあります。治療は安静やコルセットによる固定、鎮痛薬の使用に加え、腰部周囲の筋力強化を中心とした運動療法が行われます。症状が改善しない場合や神経症状が強い場合には、手術による脊椎固定術が検討されることがあります。
筋・筋膜性腰痛
筋肉や筋膜の過緊張によって腰に痛みが生じる場合があります。重い物を持つ作業や長時間の同一姿勢、運動不足が原因となることがあります。治療は、腰を安静に保ちつつ、鎮痛薬や湿布、温熱療法で痛みを和らげます。加えて、ストレッチや体幹・腰周囲の筋力強化運動を行い、腰の安定性を高めることで再発予防につなげます。
腰椎圧迫骨折
高齢者に多く見られる腰椎圧迫骨折は、骨粗鬆症や転倒によって腰椎が圧迫されて骨折する疾患です。突然の腰痛が特徴で、姿勢や動作によって痛みが増すことがあります。治療はまず安静保持や鎮痛薬の使用、骨折部を支えるコルセット装着が基本です。必要に応じて、骨折部に骨セメントを注入する椎体形成術が行われることもあります。早期に骨折を安定させることで、日常生活動作の維持につなげます。
腰椎椎間関節症
椎間関節に炎症や変形が生じることで腰痛が発生する疾患です。特に腰を反らす動作や捻る動作で痛みが増すことがあります。治療は、鎮痛薬や消炎剤の使用に加え、腰部周囲の筋力強化やストレッチを行い、関節への負担を軽減します。症状が慢性化する場合には、神経ブロック注射や理学療法を組み合わせた保存療法が有効です。
日常生活では、腰に過度な負荷をかけない姿勢を意識することが慢性痛の予防に重要です。長時間の座位や前かがみの作業では、適度に休憩を取り、腰部のストレッチや体幹・腹筋、背筋の筋力強化を取り入れることが効果的です。また、入浴や温熱パックで血流を改善し、腰周囲の筋肉の緊張を和らげることも有効です。適切な靴や寝具を選び、腰への負担を最小限にすることも痛みの軽減につながります。
腰の痛みやしびれが日常生活に支障をきたす場合、下肢のしびれや筋力低下、動作制限がある場合は早めに整形外科で診察を受けることをおすすめします。早期に原因を特定することで、保存療法やリハビリを適切に行い、症状の改善や再発予防につなげることが可能です。腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、圧迫骨折などは進行すると手術療法が必要になる場合もあるため、症状の初期段階での受診が重要です。当院では、精密な診断から保存療法、必要に応じた手術やリハビリまで一貫して対応し、腰の痛みやしびれの改善と生活の質向上をサポートしています。
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