股関節の痛み
股関節の痛み

股関節は体重を支え、歩行や立ち上がり、階段昇降など日常生活の動作に欠かせない重要な関節です。そのため、股関節の痛みや違和感は歩行や動作の制限につながり、生活の質を大きく左右します。痛みを放置すると関節の変形や筋力低下、歩行障害につながることがあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。ここでは、股関節に関してよく見られる疾患や症状、原因、特徴、そして治療の考え方について詳しく解説します。
変形性股関節症
変形性股関節症は、加齢や関節の使いすぎ、先天性の骨形態異常により股関節の軟骨がすり減ることで生じる疾患です。初期は股関節の奥に鈍い痛みを感じる程度ですが、進行すると歩行時の痛みや階段昇降の困難、股関節の可動域制限が現れます。治療は、まず日常生活での負担を軽減する生活指導や運動療法が中心です。股関節周囲の筋力を強化することで関節の安定性を保ち、痛みの軽減を図ります。鎮痛薬や関節内注射(ヒアルロン酸注射など)も症状緩和に有効です。症状が進行し生活に支障をきたす場合には、人工股関節置換術などの手術療法が検討されます。
股関節唇損傷
(ラブラム損傷)
股関節唇は、関節の安定性を保つ軟骨組織です。この損傷により股関節前面や鼠径部に痛みを生じ、歩行や股関節の屈伸、回旋動作が困難になることがあります。原因としてはスポーツでの過度な負荷や加齢による変性、先天的形態異常が挙げられます。治療は、股関節の安静や鎮痛薬の使用、股関節周囲のストレッチや筋力強化を行い、症状の改善を目指します。保存療法で改善が難しい場合は、関節鏡を用いた股関節唇修復術が行われます。
股関節インピンジメント
症候群(FAI)
股関節の形態異常により、関節の動きの際に骨や軟骨が衝突し痛みや可動域制限を引き起こす状態です。特に股関節を曲げる動作や内旋・外旋で痛みが生じることがあります。治療はまず生活習慣の調整や運動療法により、股関節周囲の筋肉を強化し可動域を改善します。症状が強い場合は鎮痛薬や注射療法を行い、改善が見られない場合や日常生活に支障がある場合は、関節鏡手術による衝突部分の修正が検討されます。
大腿骨頭壊死
(大腿骨頭無腐性壊死)
大腿骨頭の血流が障害されることで骨組織が壊死し、股関節の痛みや運動制限が生じる疾患です。初期は歩行時の鈍い痛みから始まり、進行すると股関節の可動域制限や日常生活の制限が顕著になります。治療は原因や進行度に応じて選択され、保存療法では負荷軽減や鎮痛薬、運動療法を組み合わせます。しかし、壊死が進行して関節機能に影響する場合は、骨移植術や人工股関節置換術などの手術療法が行われます。
関節炎による股関節痛
(関節リウマチ・感染性関節炎など)
股関節に炎症が生じることで痛み、腫れ、動かしにくさが現れます。関節リウマチによる股関節炎では、炎症が長期間続くことで関節破壊や変形が進行します。治療は抗リウマチ薬や免疫抑制薬による内科的治療が中心で、疼痛軽減や関節可動域維持のためにリハビリテーションが行われます。感染性関節炎の場合は抗菌薬による治療が必要で、重症例では関節鏡下での洗浄や手術による処置が検討されます。
臼蓋形成不全・
先天性股関節異常
先天的に股関節の受け皿(臼蓋)が浅い場合、股関節の安定性が低く痛みや変形性関節症のリスクが高まります。症状としては、運動時の股関節痛やだるさ、動かしにくさが現れることがあります。治療は、股関節周囲の筋力強化や可動域訓練などの運動療法を行い、日常生活での負担を軽減します。進行して痛みや変形が強くなる場合は、骨切り術や人工股関節置換術など手術療法が検討されます。
股関節周囲の筋・
筋膜性痛
股関節周囲の筋肉や腱、筋膜に負担がかかることで痛みや違和感が生じることがあります。歩行や立ち上がり、階段昇降で痛みが増すこともあります。治療は、安静や鎮痛薬の使用に加え、温熱療法やストレッチ、筋力強化を中心とした運動療法を行い、症状の軽減と再発防止を図ります。
日常生活では、股関節に過度な負荷をかけないことが慢性痛予防に重要です。長時間の立位や階段昇降の際には、無理のない動作を心がけることが大切です。また、股関節周囲のストレッチや筋力強化を取り入れることで、関節の安定性を高め、痛みの軽減につなげます。歩行時の姿勢や靴の選び方にも注意し、関節への負担を最小限にすることが有効です。
股関節の痛みや可動域制限が日常生活に支障をきたす場合、歩行時の痛みや階段昇降の困難、夜間痛が続く場合は、早めに整形外科で診察を受けることが推奨されます。早期に原因を特定することで、保存療法やリハビリを適切に行い、症状の改善や歩行機能の維持につなげることが可能です。変形性股関節症や大腿骨頭壊死、先天性異常などは進行すると手術療法が必要となる場合もあるため、症状の初期段階での受診が重要です。当院では、精密な診断から保存療法、必要に応じた手術やリハビリまで一貫して対応し、股関節の痛みや機能低下の改善と日常生活の質向上をサポートしています。
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